いぶき23号

2005年11月15日発行

燃やす?減らす!

プラスチックごみ焼却を考える

■主張

  • 燃やす?減らす!
    プラスチックごみ

 

■池尻成二の議会報告

 

■地域発しゅぽっぽボイス

 

■練馬をつくる

  • 中途障害者通所訓練施設「いきいき工房」

 

■市民の声ねりまから

  • シャンソンコンサート報告

  • 桜台地区ティーブレイク

「プラスチックを可燃ごみに」

 家庭から出るプラスチックのごみを、清掃工場で燃やそうという動きが、一気に広がっています。今は、プラスチック類はもちろん、「不燃ごみ」。基本的には、燃やされることはなく、途中で圧縮されたり砕かれたりしたうえで埋め立てられています。そのプラスチックごみを、「可燃ごみ」にしてしまおうというのです。
 もし「可燃ごみ」になれば、残菜・残飯や紙くずなどと一緒にされたプラスチックは、地域の清掃工場、たとえば練馬工場(区内谷原)や光が丘工場で燃やされることになります。ごみの分別と収集、処理のあり方の一大転換です。
 なぜプラスチックを燃やすのか。大きな理由は、埋立て処分場がだんだん窮屈になってきているということです。燃やして灰にすれば、プラスチックの量はぐっと減ります。埋立て処分場を管理する東京都が、今後はプラスチックを受け入れない姿勢を示しているため、ごみの収集を行う各区はあわてているのです。
 もうひとつの理由は、いらなくなったプラスチックを有効活用する方法のひとつとして、「熱回収」という考え方が広がってきていることです。もともと石油からできているプラスチックは、とてもよく燃えます。そして、燃える過程で出す大量の熱を回収して発電や給湯に使うほうが無駄に埋め立てるよりもよいのではないか、というわけです。ときに“サーマルリサイクル”と呼ばれたりもします。

「サーマルリサイクル」はリサイクルじゃない?

 確かに、なかなか自然に帰ることのないプラスチックごみを海に投げ入れ、山と積み上げていくことがよいことだとはとても言えません。しかし、だからといって、プラスチックを清掃工場で燃やしてよいということになるのでしょうか。
 実は、今ある清掃工場は、ごみを燃やすための工場であり、「熱回収」のためにつくられたものではありません。従って、回収できるエネルギーはごく一部であり、大半のエネルギーは、大気中に熱として放出されてしまいます。しかも、焼却量が増えれば、当然CO2のような温暖化ガスの排出もふえます。塩化ビニル系のプラスチックは、燃やすとダイオキシンが発生してしまいます。さらには、特に輸入された廉価プラスチック製品などにはさまざまな重金属が含まれているといわれ、高温焼却でそれらの重金属が気化して大気中に出てしまうかもしれません。あるいは、大量にプラスチックを燃やすと、清掃工場の炉が高温で傷みやすくなるなど運転管理上の難しさも指摘されています。管理や整備のために工場運営にかかる経費はさらに増えるでしょう。
 埋立てがよくないからといって、プラスチックを安易に清掃工場で燃やすべきではありません。ではどうするか。リサイクルの基本、ごみの「減量」そして「資源化」に立ち返ることです。

ごみ減量の努力が見えない

 プラスチックを燃やそうという動きがどんどん強まっていく一方で、プラスチックごみの「減量」や「資源化」の努力は、ちっとも地に足の着いたものになっていません。練馬区で見ると、不用なプラスチックそのものを出さないという「発生抑制」の取り組みは、ほとんど手付かずで、むしろプラスチックの消費量とごみ発生量は、どんどん増えています。いらなくなったプラスチックを資源として再利用する事業も、やっとペットボトルの回収が全区で行われているだけで、その他の大量のプラスチックはまったく進んでいません。
 国には「容器包装リサイクル法」(容リ法)という法律があって、容器や包装材として使われるプラスチック全般のリサイクルを義務付けているのですが、練馬区では、経費がかさむ、手間がかかるといった理由で、ペットボトルと業者が自主回収しているトレイを除いて、全部、今はごみとして捨てられているのです。

ごみの中のプラスチック

2004年度不燃ごみ組成調査結果から

現に資源化されているもの ※1

容リ法対象のプラスチック ※2

その他の不燃物

可燃物

処理困難物

28.4%

32.7%

24.3%

11.2%

3.5%

1 ペットボトル、白色トレイ、びん・缶など
※2 ペットボトル、白色トレイ以外のプラスチック製容器包装

「減らす」「生かす」を真剣に!

 捨てる⇒埋める、が、捨てる⇒燃やす、に変わっても、新しい問題が山積になるだけで本当の解決にはとてもなりません。プラスチックをできるだけ使わない、むだにしない、ごみに出さない、そしてどうしてもいらなくなったものは資源としてきちんと再利用する。
 まずは、容リ法の対象となっているプラスチック類のリサイクルに取り組むべきです。23区でも、豊島区では早くから事業化しており、中野区、杉並区でもモデル事業が始まっています。全国的にみても、進んでいる自治体はいくらでもあります。つい最近、ごみ減量を進め清掃工場をひとつ休止した横浜市の経験などは、ぜひ参考にしたいものです(別掲)。
 現実には、すべてのプラスチックごみを一気になくすことは無理でしょう。しかし、基本は、「燃やす」ではなく「減らす」そして「生かす」です。それは、ごみ減量の大きなはずみとなり、ひいては区内の清掃工場を減らしていく道を開くものともなるはずです。

横浜市の挑戦 『横浜G30プラン』

2003年に策定されたごみ減量計画。2010年度のごみ排出量を2001年度比で30%削減するという目標を設定。缶・ビン・ペットボトルなどごく一部にとどまっていた分別収集・資源化の取り組みを、すべてのプラスチック製容器包装やスプレー缶などにも拡大、2005年度前半には03年度比で32.4%のごみを減量。この成果を元に、06年1月から900t/日の焼却能力がある港南工場の休止を決定。リサイクルへの市民の参加も広がっており、啓発事業に携わる「G30サポーター」が1,654名、地域での環境対策を推進する「環境事業推進委員」が4,625人いるという(横浜市の資料より)